12月16日(水)第1準備書面を提出しました。
原告側第1準備書面は、前回10月28日の第1回口頭弁論で陳述された被告側答弁書で被告大阪市が求めた求釈明(「被告が原告に対して自宅での勤務を認めず学校での勤務を命じたことが違法な職務命令に当たるという法的評価を根拠づける事実について明らかにされたい」)に答えるもので、以下の点を主張しています。
◎第1 違法なパワーハラスメントに該当すること
★業務上の必要かつ適正な範囲を超えて行われたこと
(1)原告に対する出勤命令の本質・目的⇒3月24日の副校長からの電話の内容(原告は出勤後校舎の正門から入らず、工事用の門から入って、職員室には入らず、出勤後退勤まで一切他の教員とは接触しないようにするとのこと…原告が行うべき職務の内容については何ら指示がなく、とにかく学校にきてそこで仕事をしてくれということ)から、本件出勤命令は、原告が出勤しなければならない何らかの業務があり、それを遂行させる手段としてなされたものではなく、単に自宅から校舎までの公共交通機関の利用(往復)を強制させることが本質であって、それが目的とされていた。
(2)本件出勤命令当時の新型コロナウイルス感染症の危険性の知見
ア 新型コロナウイルス感染症の危険性についての当時の知見⇒通勤時間帯の電車内は上記の3密を満たしうるものであった。
イ 欧州からの帰国者による感染が急増している状況⇒もし原告の帰国が数日遅れて、3月21日午前0時以降であったとすれば、上記要請(「検疫所長の指定する場所で14日間待機し、国内において公共交通機関を使用しないことを要請」)の対象となっていた。
(3)本件中学校の生徒及び一般市民に対する感染の危険性⇒被告が原告に出勤を命じたことは、勤務先の生徒、教職員及び公共交通機関の他の利用者を新型コロナウィルス感染の危険性に晒すものであった。
(4)出勤が必要な状況ではなかったこと等⇒原告の職務内容に照らして、当時出勤が必要な状況ではなかった。
(5)京都産業大学の学生らのケースと本件との共通性⇒当時の欧州の状況は、新型コロナウィルス感染症が日々大幅に拡大して行く状況であり、原告もスイスに渡航した時期に新型コロナウィルス感染症に感染している危険性は充分にあった。…万が一原告が新型コロナウィルスに感染してた場合、上記の京都産業大学の学生と同様に…原告を起点として多数の感染者及び死者が生じた結果、原告が感染源として批判の的に晒される状況に陥ることは必至であった。
(6)出勤命令が業務上の必要かつ適正な範囲を超えて行われたこと⇒本件出勤命令は社会通念に照らし、明らかに業務上の必要性がない、またはその態様が相当ではないというべきであり、業務上の必要性を欠き、かつ適正な範囲を超えて行われたと評価せざるを得ない。
★原告の就業環境が害されること
本件出勤命令は原告に対して、減給され賞与等も減額されるリスクと、出勤をすれば不特定多数の周囲の者に感染させるかもしれないリスクとを天秤にかけさせ、原告を非常に苦悩させるものであった。
◎第2 本件出勤命令はその裁量を濫用・逸脱したものであること
新型コロナウイルス感染症が、無症状者の他者への感染リスクが大きく喧伝されている中で、いたずらに他者に感染させる危険の蓋然性・可能性が高いというべき職務命令は、やはり裁量権を濫用・逸脱したものとして違法となる。なお、裁量の濫用・逸脱に関する評価根拠事実は第1で記載した点と重なる。
※新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらず医療崩壊の危機が続いています。大阪市のコロナ感染症対策のひどさがますます明らかとなっています。この裁判に勝利し、「金より命」を重視する市政へ、根本的な転換を迫りたいと思います。第2回口頭弁論期日と報告集会にご参加ください。
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